2026年05月25日(月)
- パワーエレクトロニクス基礎
三相モータはなぜ回るのか?U相・V相・W相に流す電流の基本を解説【モータ制御シリーズ 入門③】
三相モータは、U相・V相・W相に電流を流して回転します。本記事では、電流・磁力・磁界の関係から三相モータの基本を初心者向けに解説します。
前回の記事(モータ制御とは?速度・トルク・位置を制御する基本を解説)では、モータ制御とは、モータの速度・トルク・位置を目的に合わせて調整する技術であることを解説しました。
モータの種類によって制御方法は異なりますが、ブラシレスDCモータや永久磁石同期モータ、誘導モータなどでは、U相・V相・W相という3つの相に電流を流してモータを回転させます。
三相モータがどのように回転するのか、電流・磁力・磁界の関係から初心者向けにわかりやすく解説します。
三相モータはなぜ回るのか?U相・V相・W相に流す電流の基本を解説
三相モータとは、U相・V相・W相という3つの巻線に電流を流して回転するモータです。
モータは、外側の固定された部分と、内側で回転する部分で構成されています。外側の固定された部分を固定子(ステータ)、内側で回転する部分を回転子(ロータ)と呼びます。
三相モータでは、固定子にあるU相・V相・W相の巻線に電流を流すことで磁界を作ります。そして、その磁界の向きを変化させることで、回転子を回転させます。
つまり、三相モータを理解するうえで重要なのは、「電流を流すと磁界が生まれること」と、「U相・V相・W相への電流の流し方によって、モータの回り方が変わること」です。
モータは固定子と回転子でどのように構成されるのか?
三相モータの仕組みを理解するには、まずモータの基本構造を押さえておく必要があります。
モータは大きく、固定子と回転子で構成されています。固定子はモータの外側にある固定された部分で、回転子は内側で回転する部分です。
固定子には電流を流すための巻線が配置されています。この巻線に電流を流すことで磁界が発生し、回転子はその磁界の影響を受けて回転します。
三相モータでは、固定子の巻線がU相・V相・W相という3つのグループに分かれています。
なぜ電流を流すと磁力が生まれるのか?
モータが回転する仕組みを理解するには、まず電流と磁力の関係を押さえる必要があります。
磁力とは、磁石が引き寄せたり反発したりする力のことです。巻線に電流を流すと、その周囲に磁力が働く空間が生まれます。この空間を磁界と呼びます。
モータでは、この磁界を使って回転子を引き寄せたり、押したりすることで、回転する力を生み出しています。
つまり、モータは「電流によって磁界を作り、その磁界の力で回転子を回す装置」と考えると理解しやすくなります。
U相・V相・W相とは?
U相・V相・W相とは、三相モータにある3つの巻線のことです。
三相モータの固定子には、電流を流すための巻線が配置されています。この巻線は大きく3つのグループに分かれており、それぞれをU相、V相、W相と呼びます。
これら3つの相に電流を流すことで、それぞれの巻線が磁界を発生します。そして、どの相にどのタイミングで電流を流すかによって、モータ内部の磁界の向きが変わります。
この磁界の向きを順番に変化させることで、回転子を回転させることができます。
三相モータはなぜ回るのか?回転する仕組みを解説
三相モータは、固定子に発生する磁界と、回転子の相互作用によって回転します。
たとえば、ブラシレスDCモータや永久磁石同期モータでは、回転子に永久磁石が使われます。固定子側のU相・V相・W相に電流を流すと、固定子に磁界が発生し、回転子の磁石がその磁界に引き寄せられます。
さらに、電流を流す相や向きを順番に切り替えると、固定子が作る磁界の向きも変わります。回転子は、その磁界を追いかけるように回転します。
このように、三相モータでは、U相・V相・W相に流す電流を切り替えながら、回転子を連続的に回転させています。
なぜ磁界の向きは回るように変化するのか?
U相・V相・W相に流す電流のタイミングをずらすと、それぞれの巻線が作る磁界の強さや向きが変わります。
その結果、モータ内部では、磁界の向きが少しずつ移動し、回るように変化します。
回転子は、この回るように変化する磁界を追いかけるように回転します。
このように、モータ内部で回るように作られる磁界を、専門的には回転磁界と呼びます。
なぜ三相モータには3つの相が必要なのか?
三相モータでは、3つの相を使うことで、磁界の向きをなめらかに変化させやすくなります。
1つの巻線だけでは、磁界の向きを連続的に変化させることが難しくなります。一方、U相・V相・W相の3つの巻線を使い、それぞれにタイミングをずらして電流を流すことで、磁界の向きを順番に変えることができます。
そのため、三相モータでは、3つの相を使って回転子を回転させます。
この考え方は、ブラシレスDCモータ、永久磁石同期モータ、誘導モータなど、さまざまなモータ制御の基本になります。
インバータとは?三相モータ制御との関係を解説
三相モータを制御するには、U相・V相・W相に適切な電流を流す必要があります。
この電流の流し方を制御するために使われるのがインバータです。
インバータは、モータに加える電圧や電流を調整し、各相へ流すタイミングや大きさを制御します。
たとえば、ブラシレスDCモータや永久磁石同期モータでは、インバータによってU相・V相・W相への通電を切り替えることで、モータを回転させます。
つまり、三相モータの制御では、モータ本体だけでなく、インバータによって各相にどのような電流を流すかが重要になります。
120度通電・正弦波駆動・ベクトル制御とは?
三相モータでは、U相・V相・W相に電流を流すことで磁界を作り、回転子を回転させます。ただし、電流の流し方にはいくつかの方法があります。
たとえば、比較的シンプルに相を切り替える方法として120度通電があります。また、よりなめらかに回転させる方法として正弦波駆動があります。さらに、電流をトルクに関わる成分と磁界に関わる成分に分けて高精度に制御する方法としてベクトル制御があります。
どの方式を使うかによって、モータの回転のなめらかさ、騒音、効率、トルク制御のしやすさが変わります。
そのため、三相モータの制御では、「U相・V相・W相にどのような電流を流すか」が大きなポイントになります。
三相モータを理解するうえで重要なポイントとは?
三相モータを理解するうえで重要なのは、電流によって磁界を作り、その磁界の向きを変化させて回転させるという考え方です。
三相モータを理解するうえで重要なポイント
- モータは固定子と回転子で構成される
- 固定子は固定された部分、回転子は回転する部分である
- 巻線に電流を流すと、周囲に磁界が生まれる
- 三相モータにはU相・V相・W相という3つの巻線がある
- 電流のタイミングをずらすことで、磁界の向きが回るように変化する
- 回転子は、その磁界を追いかけるように回転する
- 通電の仕方によって、回転のなめらかさや効率が変わる
まずは、三相モータは「3つの相に電流を流して、磁界の向きを変えながら回転子を回転させるモータ」と理解すると、後に出てくる制御方式も理解しやすくなります。
三相モータはなぜ回るのか?仕組みのまとめ
三相モータは、U相・V相・W相という3つの巻線に電流を流し、モータ内部の磁界の向きを変化させることで回転します。
モータは、固定された部分である固定子と、回転する部分である回転子で構成されています。固定子の巻線に電流を流すと磁界が生まれ、その磁界の力によって回転子が動きます。
さらに、U相・V相・W相に流す電流のタイミングを変えることで、磁界の向きが回るように変化し、回転子が連続的に回転します。
三相モータでは、各相に流す電流のタイミングや大きさが、回転のなめらかさや効率に大きく関わります。
次の記事では、代表的な通電方式である120度通電、正弦波駆動、ベクトル制御の違いについて解説します。
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