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使用事例


電気二重層キャパシタ(EDLC)を用いた昇圧ドライバ

福岡大学 松本 洋和先生
  • 経歴
  • 2004年 九州大学システム情報科学研究院電気電子システム工学専攻博士後期過程修了、博士(工学)
  • 2004年 九州大学COE研究員
  • 2005年 三菱電機株式会社 名古屋製作所
  • 2008年 福岡大学工学部電気工学科助教
  • 2011年 福岡大学工学部電気工学科准教授

研究内容


福岡大学工学部パワーエレクトロニクス研究室で、根葉保彦教授の下、電力変換回路の提案・開発・実験を行っています。私が担当しているのは、内部で電圧を昇圧可能なモータドライバの研究です。従来のドライバはモータの回生制御時に発生するエネルギーを抵抗で消費することにより、DCリンク電圧の上昇を抑制していました。これはシンプルな回路構成で実現可能なのですが、モータ駆動効率の低下を招いていました。そこで電気二重層キャパシタ(EDLC)を用いた昇圧ドライバを提案し、開発を行っています。EDLCはエネルギー密度が高く、急速充放電可能な蓄電デバイスとして近年注目を集めています。提案する昇圧ドライバは、内部電圧を昇圧するとともに、チョッパ回路により、全回生エネルギーをEDLCに充電可能であり、回生動作の多いモータ運転パターンであれば飛躍的に駆動効率の向上が可能です。

PSIM使用実例


新たな回路を思いついた時は、まずPSIMを用いてシミュレーションを行っています。短時間で動作確認が行える上、回路の問題点やその解決方法を容易に調査することができるからです。下図にEDLCを用いた昇圧ドライバを示します。

EDLCは周波数依存特性を持つため、4段時定数回路で表しています。また同期モータは、サブ回路として抵抗とインダクタそして制御電圧源で等価回路を構成し、解析を行っています。モータ駆動制御系はPSIM上でも実験を行っていますが、複雑なものに関してはC言語プログラムで作成したDLLを用いています。作成した制御プログラムは、PSIM上で動作確認やデバックを行い、解析で使用した後には実験機で使用している制御ユニットPE-Expertのプログラムへ移植し、研究効率の改善を図っています。下図に解析結果を示します。

モータ回生制御時にDCリンク電圧が上昇していますが、チョッパ回路が働き、回生エネルギーをEDLCへ充電することにより、電圧上昇を抑制できていることが確認できます。同条件で実験を行いましたが、図に示した解析結果が一致した上、EDLC端子間の変動やスナバコンデンサによる入力電力の増加などまで、PSIMで非常によく再現できていることも確認できました。このMERSスイッチは周波数は変えませんが、回路の磁気エネルギーを吸収するコンデンサを持っているので、電流をどの位相でもオン・オフすることができ、その結果、誘導電動機の力率を1にしたり、始動電流を制限したりと電動機制御の可能性が広がるそうです。ソリューション研究機構は現場での応用ニーズを探しています。

モジュール構成

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