2026年08月31日(月)
- 評価・試験
モータエミュレータとは?実機モータを使わない評価方法を解説
モータエミュレータとは?実機モータを使わない評価方法を解説
はじめに
モータは、EVや産業機器、家電など、さまざまな機器で使用されています。
こうしたモータを駆動するために使用されるのが、インバータなどのモータ駆動機器です。
モータ駆動機器の開発では、想定するモータを接続したときにどのように動作するかを確認する必要があります。
これまで、バッテリエミュレータやグリッドエミュレータについて、それぞれの役割や評価方法を解説してきました。
今回は、モータを模擬してインバータなどの評価に使用する「モータエミュレータ」を取り上げます。
モータエミュレータとはどのような装置なのか、なぜ実機モータの代わりに使われるのかを解説します。
モータエミュレータを使用せず、実機モータを使用した評価の課題とは?
インバータなどのモータ駆動機器を評価する方法の一つに、実際のモータを接続して動作させる方法があります。
実機モータを使用することで、実際にモータを駆動した状態で機器の動作を確認できます。
一方、実機モータを使った評価では、次のような課題があります。
- モータを実際に回転させるため、モータ本体だけでなく負荷装置などを含めた試験設備が必要になる
- 異なる種類や特性のモータを評価する場合、それぞれのモータや試験設備を準備する必要がある
- モータの開発が完了していない場合、実機を使ったインバータ評価を開始できない
- 過負荷などの試験条件によっては、実モータが破損するリスクがある
このように、実機モータを使った評価では、試験設備やモータの準備、試験条件などに制約が生じる場合があります。
そこで、実際のモータの代わりに、モータを接続したときにインバータから見える電気的な特性や挙動を模擬する方法として、モータエミュレータが利用されます。
モータエミュレータとは?
モータエミュレータとは、モータの電気的な特性や挙動を模擬し、実際のモータの代わりにインバータなどのモータ駆動機器を評価するための装置です。
実機モータを使用する場合と、モータエミュレータを使用する場合の違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 実機モータを使用した評価 | モータエミュレータを使用した評価 |
|---|---|---|
| 接続するもの | 実際のモータ | モータエミュレータ |
| 評価方法 | 実際にモータを駆動して評価 | モータの電気的な特性や挙動を模擬して評価 |
モータエミュレータを使用することで、実際のモータを回転させることなく、想定するモータを接続した状態を模擬できます。
つまり、実機モータの代わりにモータを模擬し、インバータなどのモータ駆動機器を評価するための装置です。
モータエミュレータを使うメリットとは何か?
モータエミュレータを使用することで、実機モータを使用した評価で生じるさまざまな制約を抑えながら、インバータなどの評価を行うことができます。
① モータ完成前でも評価を進められる
評価対象となるモータがまだ準備できていない場合でも、想定するモータの特性をモータエミュレータで模擬することで、インバータなどの評価を進めることができます。
そのため、モータの完成を待たずに、モータ駆動機器の評価を先行して行うことができます。
② さまざまなモータ条件で評価できる
実機を使用する場合、異なるモータを評価するには、それぞれのモータを準備する必要があります。
モータエミュレータでは、設定するモータの条件を変更することで、異なるモータを想定した評価に活用できます。
これにより、複数のモータ条件に対するインバータなどの動作を確認できます。
③ 実モータの破損リスクを抑えた試験ができる
実機モータを使用した試験では、過負荷などの試験条件によってモータが破損する可能性があります。
モータエミュレータを使用することで、実際のモータを使用せずに、こうした条件を想定した評価を行うことができます。
モータエミュレータを使った評価の流れとは?
モータエミュレータを使った評価では、想定するモータの条件を設定し、その条件に基づいてモータの特性を模擬します。
基本的な流れは、次のようになります。
① モータの条件を設定
↓
② モータの特性を模擬
↓
③ インバータなどのモータ駆動機器を評価
↓
④ 条件を変更して評価
実機モータを交換する代わりに条件を変更することで、異なるモータを想定した評価にも活用できます。
Mywayのモータエミュレータ
Mywayプラスでは、インバータ評価システムとして「モータエミュレータ」を提供しています。
永久磁石同期モータ(PMSM)の模擬運転に対応し、モータパラメータ(Ra、Ld、Lq、磁束など)の設定や、レゾルバ信号(sin、cos、exc)の出力が可能です。
評価対象となるインバータは50kW~1MW級まで幅広く対応し、主に車載インバータの性能評価や耐久評価などに利用されています。
また、モータ完成前の先行評価や、実モータでは破損リスクがある過負荷試験などにも活用できます。
製品の詳しい特徴・仕様・用途については、 インバータ評価システム モータエミュレータ|特徴 をご覧ください。
まとめ

モータエミュレータを使った評価とは?
モータエミュレータは、実際のモータの代わりにモータの電気的な特性や挙動を模擬し、インバータなどのモータ駆動機器を評価するための装置です。
実機モータを使用した評価では、試験設備の準備や複数のモータの用意、モータ完成までの待ち時間、試験条件による破損リスクなどが課題になる場合があります。
モータエミュレータを活用することで、実機モータを使用せずに想定するモータ条件で評価できるため、モータ駆動機器の開発・評価に活用できます。