2026年09月02日(水)
- パワーエレクトロニクス基礎
汎用インバータとPE-Inverterは何が違う?外部コントローラを使用する理由を解説【パワエレ開発シリーズ⑥】
「インバータ」と聞くと、モータの回転速度を調整するための装置を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
一方、Mywayプラスのインバータユニット「PE-Inverter」もインバータの一つですが、一般的なモータ駆動用の汎用インバータとは、制御の構成が異なります。
本記事では、そもそもインバータとは何かを整理したうえで、汎用インバータとPE-Inverterの違い、PE-Inverterを外部の制御コントローラから制御する仕組みについて解説します。

PE-InverterとPE-Expert4を組み合わせたシステム構成例
(※ 「PE-Onverter」製品ページより)
インバータとはどのような役割を持つ電力変換回路なのか?
パワーエレクトロニクスにおけるインバータとは、直流電力を交流電力へ変換する電力変換回路です。
パワー半導体を高速にON・OFFすることで、必要な電圧や電流を出力します。モータ駆動では、インバータから出力する交流電力を制御することで、モータの回転やトルクなどを制御します。
ただし、「インバータ」という言葉は、電力変換回路そのものを指す場合と、制御機能まで含めた製品を指す場合があります。
この違いを理解しておくと、汎用インバータとPE-Inverterの構成の違いが分かりやすくなります。
汎用インバータとは?制御機能と電力変換回路はどのように構成されているか?
モータ駆動などに使用される汎用インバータでは、一般に電力変換回路だけでなく、モータを動かすための制御機能も製品内部に備えています。
ユーザーが運転指令や周波数、速度などの条件を設定すると、その指令をもとにインバータ内部で制御演算を行い、PWM信号を生成してパワー半導体を駆動します。
そのため、汎用インバータは概念的には、
制御部 + 電力変換部
が一つの製品にまとめられた構成と考えることができます。
PE-Inverterとは外部のコントローラからどのように制御するのか?
PE-Inverterは、研究・開発・実験などに使用するインバータユニットです。
パワー半導体を使用した主回路に加えて、ゲートドライブ回路、電圧・電流センサ、保護回路など、実際に電力変換を行うために必要な機能を備えています。
一方、制御演算やPWM信号の生成は、PE-Inverterの外部にある制御コントローラで行います。
例えばPE-Expert4を使用する場合は、PE-Expert4で電圧や電流などの信号を取得し、制御演算を行います。その演算結果からPWM信号を生成し、PE-Inverterへゲート信号として出力します。
PE-Inverterは、そのゲート信号に基づいてパワー半導体をスイッチングし、実際の電力変換を行います。

PE-Inverterとデジタル制御システム PE-Expert4との接続例
(※「PE-Inverter」製品ページより)
汎用インバータとPE-Inverterの違いは何か?
両者の大きな違いは、制御をどこで行うかです。
| 項目 | 汎用インバータ | PE-Inverter |
|---|---|---|
| 電力変換 | インバータ内部で行う | PE-Inverterで行う |
| 制御演算 | インバータ内部で行う | 外部コントローラで行う |
| PWM生成 | インバータ内部で行う | 外部コントローラで行う |
| ユーザーが主に扱うもの | 運転条件や周波数・速度などの指令 | 制御プログラムやPWM信号など |
| 主な用途 | モータなどを設定した条件で運転する | 制御方式や電力変換方式の研究・開発・実験 |
表:汎用インバータとPE-Inverterの違い
※ここでいう汎用インバータは、主に一般産業用のモータ駆動用インバータを想定しています。
パワエレの研究・開発では、制御の何を検討するのか?
汎用インバータでは、モータを目的の条件で運転するための制御機能があらかじめ用意されています。
一方、パワエレの研究・開発では、モータや負荷を動かすことだけではなく、どのように制御するか自体が研究対象になることがあります。
例えば、次のような検討を行う場合があります。
- 制御アルゴリズムを変更して応答を比較する
- PWM方式を変更する
- 制御周期や制御パラメータを変更する
- 独自の制御方式を実機へ実装する
外部コントローラで制御を行う構成では、こうした制御プログラムを研究内容に応じて作成し、実際の電力変換回路を動かしながら評価できます。

PE-InverterとPE-PROまたは他社製・自作制御ボードとの接続例
(※「PE-Inverter」製品ページより)
PE-Inverterのセンサ信号はどのように制御へ利用するのか?
フィードバック制御では、インバータや制御対象の状態を取得し、その結果を次の制御演算へ反映します。
PE-Inverterには電圧・電流を検出するためのセンサが搭載されており、その信号を外部の制御コントローラへ出力できます。
そのため、
電圧・電流を取得する → 制御演算を行う → PWM信号を出力する → 電力を変換する → 再び電圧・電流を取得する
というフィードバック制御を、外部コントローラで作成した制御プログラムによって構成できます。
まとめ | 汎用インバータとPE-Inverterの違い
インバータという言葉は、電力変換回路そのものを指す場合と、制御機能まで含めた製品を指す場合があります。
一般的なモータ駆動用の汎用インバータでは、制御機能と電力変換回路が一つの製品にまとめられており、ユーザーは運転条件や周波数・速度などを設定して使用します。
一方、PE-Inverterは、主回路、ゲートドライブ回路、センサ、保護回路などを備え、制御演算やPWM生成は外部の制御コントローラで行います。
このため、制御アルゴリズムやPWM方式などを自分で実装し、実際の電力変換回路を使って評価する研究・開発に利用できます。
Mywayプラスでは、研究・開発・実験に使用できるインバータユニット「PE-Inverter」を提供しています。

インバータユニット「PE-Inverter」
(※製品ページより)
次回は、PE-Expert4とPE-Inverterを組み合わせる場合を例に、PC、制御コントローラ、インバータ、モータや負荷がどのようにつながるのかを解説します。
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