2026年03月11日(水)
- Grid-Formingアプリケーションパッケージ
GFM(Grid-Forming)とGFL(Grid-Following)の比較解説
再生可能エネルギーの大量導入が進む中で、Grid Forming(GFM)コンバータは電力系統を安定させる技術として大きな注目を集めています。
近年は国内でもGFMに関する論文発表も急速に増えてきています。
しかし一方で、見落とされがちなのが仮想慣性の機能そのものはGFMの方式だけに限られるものではないという点です。
再エネ電源の系統連系技術として注目されるGFMが仮想慣性とともに語られることは多いものの、
仮想慣性の考え方自体は必ずしもそれだけに結び付くものではありません。
そのため、「仮想慣性=GFM」という単純な理解だけでは、系統安定化技術の全体像を正しく捉えることは難しくなります。
このため、GFMとGFLを正しく比較・理解するには、
-
仮想慣性とは何を補償する技術なのか
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系統安定化における役割は何か
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GFMとGFLの制御構造の違いはどこにあるのか
といった点を改めて整理することが重要になります。
本コラムでは、GFMとGFLの構造や制御方式の違いをまとめております。
二つの違いを明確にすることで、研究テーマの焦点が定まり
再エネ時代の電力系統技術における研究開発のスピード向上にもつながるはずです。
GFMとGFLの違い
| GFM | GFL | |
| 前提 | 出力電圧の振幅および位相を自ら生成する 電圧制御型 系統電圧に同期し、その電圧を基準として電流を 制御する電流制御型 ⇒系統に対して「電圧源」として振る舞う |
系統電圧に同期し、その電圧を基準として電流を制御する電流制御型 ⇒系統に対して「電流源」として振る舞う |
| 同期方式 | 有効電力制御⇒周波数出力 | 系統電圧位相同期制御(PLL) |
| 自立運転 | 可能 | 不可能(系統電圧が必要) |
| 仮想慣性の 実装方法 |
有効電力制御の応答が構造上慣性的に動作 | 出力有効電力を周波数変動に基づいて補正することにより仮想慣性を提供 |
GFMとGFLの制御構造の比較
| GFM | GFL | |
| 有効電力(P) 制御の役割 |
有効電力(P)制御が出力電圧の周波数(位相)指令を ⇒GFMの有効電力制御が仮想慣性と同期化力を提供 |
有効電力(P)と無効電力(Q)の指令に基づいて 生成した電流指令を電流制御へ与える |
| 無効電力(Q) 制御の役割 |
無効電力(Q)制御が出力電圧の振幅指令を生成する | 電流指令の位相はPLLによって検出した系統電圧の 位相を基準とする |
| 制御構造 (ループ構成) |
生成された電圧指令に基づき、外側の電圧制御 ループと内側の電流制御ループによる 二重ループ構造で電圧を形成する |
電流制御はGFMの電流制御系と同一の動作で 電流を出力する |
GFMの優位性
GFMの優位性は、仮想慣性ではなく有効電力制御の外乱応答が慣性と同期化力を同時に提供できることにあると考えます ※ 。
本質的な価値として、慣性応答そのものはGFLでも実現可能ですが、将来の低慣性・低同期化力系統においてGFMが不可欠となる理由は
弱系統を支える構造的な同期化力にあります。 ※電圧源として振る舞う制御構造のため、同期化力が構造的に内在
<自立運転(慣性とは無関係)>
●系統電圧なしで電圧を形成 ●ブラックスタートが可能 ●マイクログリッドを構築する際に、基準電圧を生成(アイランド運転)
本コラムは、弊社 GFMアプリケーションパッケージ カタログの内容を一部抜粋・再構成したものです。
カタログでは、
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制御ブロック構成の詳細
- 適用事例
-
GFM/GFL比較実験結果
などを詳しく解説しています。
