パワエレコラム

2023年03月14日(火)

  • HILS

HILSとは?

HILS(Hardware In the Loop Simulation)とは

HILSは、Hardware In the Loop Simulationの略で、リアルタイムシミュレータの機能を持つテスト装置、またはソフトウェアのデバッグ手法を指します。

日本ではSimulationまで入れてHILSと呼ばれ、 欧米ではHILと呼ばれている場合が多くあります。

(※SimulationやSimulator、Systemなど諸説あります。)

HILSでは、インバータやコンバータを駆動するためのゲート信号などの入力信号を実機コントローラから直接HILSに対して入力し、HILS内のコンピュータがリアルタイムに演算を行い、あたかも実機が動いているかのようにリアルタイムに電流や電圧の演算値をセンサ値として実機コントローラに出力を返します。

 

 

HILSの役割

 

 

下の図にHILSのリアルタイムシミュレーションの仕組みを示します。コントローラ側の演算周期に沿ってゲート信号がHILSに入力されます。

すると、HILS内の高速プロセッサがコントローラの演算周期よりも高速にシミュレーション対象の電圧や電流のモデリングを行い、

その演算値を仮想の電流や電圧のセンサ値としてコントローラにフィードバック信号を出力するのです。

この処理をコントローラ側とHILS側の両者がリアルタイムの時間軸で行うことにより、HILSによるリアルタイムシミュレーションが可能となります。

 

HILSのリアルタイムシミュレーションの仕組み

HILSのメリットは?

制御ソフトウェアのデバッグが可能なことはご理解いただけたと思います。

では、そこから得られるメリットは何なのかご説明します。HILSによるメリットは大きく以下の2つがあげられます。

 

①ハードウェア完成前のソフトウェアの検証可能

インバータやコンバータの制御ソフトウェアのデバッグをハードウェアの完成を待たずして行うことが可能となるので、開発期間の短縮を行うことが可能です。

HILSは100kHz~の波形であってもHILSのプロセッサが正確に実波形を模擬します。すなわち、本物の制御対象に対して制御を実行しているかのような感覚でソフトウェアのデバッグが行うことが可能となるのです。

 

 

②不具合や故障時を再現させるテストを実機なしで実行可能

実機ではコスト面や時間の確保で困難な不具合や故障時を再現させるテストがHILSでは検証可能になります。それゆえにソフトウェアの品質向上を目指した開発をHILSで行うことも可能です。

また、実機を用いずにソフトェアのデバッグを行うことが可能となるので、実機の破損によるコストがかからなくなり開発費用の削減にも大きく貢献します。

 

以下に弊社取扱製品のHILSユーザーのインタビューを掲載しております。ユーザー様自身の生の声ですのでご興味あればぜひご覧になってください!

 

HILSユーザー事例 産業技術総合研究所 橋本様(パワーコンディショナ評価)

HILSユーザー事例 株式会社本田技術研究所

北本様・進藤様(車載用パワエレ機器開発)

 

HILSの環境構築は難しいのか?

新しい試験環境を構築することは各企業様や各研究機関様にとってとてもハードルが大きいことだと思います。

HILSへのご理解を少しでもいただけるようHILSの環境構築例を以下に示します。

(弊社取扱製品HILSのTyphoon HILの場合。各社HILS製品により環境構築の手順は異なる可能性があります。)

 

①回路エディタにおける主回路のシミュレーションモデルの作成

HILS専用ソフトの回路エディタでインバータやコンバータ、モータなどリアルタイムシミュレーションを行いたい対象のモデルの構築を行います。

様々な回路モデルやモータモデルを用意しており、一般的な回路シミュレーションソフトのエディタと同じような感覚でモデルを構築いただけます。

 

HILS回路エディタによる三相系統連系インバータモデル

 

②配線作成

お客様のお使いとなるコントローラとHILとの配線を作成します。

 

実機コントローラ(PE-Expert4)とTyphoon HIL 402モデルの接続

 

③HILSによる評価

コントローラにおいて制御ソフトウェアのプログラムを実行し、ゲート信号をHILに入力しリアルタイムシミュレーションを開始します。

下の画像はHILSの出力画面のパネル構成例を示します。主回路の電流波形や電圧波形はもちろんですが、入力されるゲート信号もHILSで確認が可能です。

また、主回路の出力に演算ブロックを追加することによって各電力値(有効電力・無効電力・皮相電力)の確認等も可能です。

 

HILSのモデリング波形・値の計測・測定機能の画面例

 

以上の①~③ステップにおいてHILSを用いた制御ソフトウェアの検証が可能です。

 

今回ご紹介したHILSであるTyphoon HILのソフトウェアはHILSの端末なしでPCのみでもシミュレーション可能であり、無償提供もしております。

もしご興味あれば弊社営業窓口まで「Virtual HILのライセンス希望」と記載しお問い合わせください。

 

上記の例はシンプルな三相系統連系インバータを示しますが、使用者の方の制御ソフトウェアの準備が出来ていれば使用方法の習得含め短期間で環境構築が可能です。ぜひパワエレ用各種機器のソフトウェアデバッグにHILSの使用をご検討してみてください。

 

思ったよりもHILSの使用は簡単で使いやすいツールであることをご理解いただけますと幸いです。

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